古典もどき

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古典もどき

其の一 某月某日

歯医者へ行った帰り、交差点の角で車の男に呼び止められる。道でも聞かれるのかと思い中年女性御用達・人力二輪車(ママチャリとも言ふ)から降りた。
男「△■◎▼☆?」
うすば「はぁ?何でしょう」
男「ねえ、遊ばない?」
黙ってママチャリに乗って家へ帰る。車の男が後をつけてくるのではないかと心配になり、一瞬ストーカーという言葉が頭に浮かぶ。だが、まだまだ私も捨てたものではないぞ、という思いも同時に浮かび、ひとり薄ら笑いを浮かべる女心といふもの、いとあはれなりけり。


其のニ 某月某日

会社の同僚との会話
うすば「子供たちが新しいお父さんが欲しいなんて言うんですよ〜」
同僚「あ〜ら、こんな行動範囲じゃ見つかるわけないじゃない」
うすば「そうですよね〜、会社と保育園と学校の半径100メートルくらいの間で動いているだけですもんね〜、ははは・・・」
本日、木枯らし一番が私の胸中を駈け抜けて行きけり。ひゅるり〜、ひゅるり〜らら〜
ちなみに現在は家と会社(徒歩1分)の間を行き来するのみである。


 其の三 某月某日

この一年はあまり良いことがなかったけれど、来年こそはと期待をかけて暮れに大型富くじを買う。
正月二日に初詣をした。お御籤を引くと「吉」とでた。「猿田の彦を祠れ」とある。猿田の彦とは、なんぞや。
「旅、良し。失せもの現る。縁談、良し」いいことづくしである。最後のところは、よ〜く心に留めておかなければ。 こいつは春から縁起がいい。思わずにんまり。この調子で大型富くじの方も・・・と思ふは、その事ばかりなりけり。

ある日、夢を見た。
私は富くじ売り場で番号を調べて貰っている。今は機械で調べて、当選何枚と印刷された紙がでてくる。
売り場のオバサンが私の差し出したくじを機械にかける。やがて一枚の紙を私に示して
「おめでとうございます。三等です」と云った。
こ、これは正夢!私は勇んで売り場へくじを持って行った。カチカチ・・・機械が止まり、オバサンは云った。
「三枚当たっていますね。三千円が一本入っています」
嗚呼、三等ではなく、三千円とはいと、をかし!
世の中そうは甘くはないと思ひはべり。

富くじの 当たらぬままに 消えかへる
 当たれば かはる嘆きせしまに


其の四 某月某日

けふ、春一番が吹き給へりと風のうはさに聞けり。されども寒さはいみじゅう厳しと思はれにけり。

肌着の上にセーターを二枚重ねて着ておりましても、まだ寒さは凍みるように肌を刺してくるのでございました。これだけ着こんでおりますと、厠へ行った後が大変でございます。下半身の方も、もちろん何枚も重ねて履いているのでございます。
用をすませますと、まずズロースを上げて参ります。そこへ肌着を下げまして、タイツを上げるのでございます。そうして内側に着ているセーターを下げましたらば、それをまた毛糸のズロースの中へ入れてぽんぽんと、お腹を叩いたり致します。いえ、これはわたくしの癖でございますが。
更にズボンを上げ、その上にまたセーターをおろしてやっと厠から出てくる有り様ございます。まるで現金封筒の封をするように、重ねて閉じて、重ねて閉じてを繰り返すのでございました。

このような姿、殿方に見せることなど、かたじけなし。
冷え性の身のいとかなし。暖かな光のどけし春の日を待ちかてにをり。