エッセーもどき

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ジゴクニ オチロ

以前、ポケベルを持っていたことがあった。これは、その時に起きた世にも怖ろしい話である。
気の弱い人や、心臓の悪い人は、決して読まないでください・・・・

ある時、真夜中にベルが鳴った。慌ててベルを見ると
「ジゴクニ オチロ・・・」 文字は、一瞬にして消えてしまった。

ナニィ〜!!地獄に落ちろォ?
時計を見ると、午前2時。草木も眠る丑三ツ刻である。
人に恨みを買う覚えが、あいにくその当時はあっただけに、気持ちが悪い。
誰だろう。あいつか?それともあいつか・・・

翌日も翌々日も、午前2時にベルが鳴った。
「ジゴクニ オチロ」 ひえ〜〜。
残るはずのメッセージは、消えてしまう。これは、やはり呪いなのか。

ポケベルの電源を切ってしまえばいいようなものだが、なんとなくそれも怖くてできないまま、数日が過ぎた。私は思いきって友達に相談をした。友達は私が呪いだとか、何だとかとまくし立てるのを黙って聞いていたが、ぽつりと云った。
「何か、変なところをいじらなかった?」
・・・そう云われて見れば、いつだか色々な設定のところをいじくり回した事があった。
「え〜と、ちょっと説明書を見てみる」
私は仕舞い込んであった説明書を取り出し、パラパラとページをめくった。
こ、これは・・・・・!!

「決まった時刻にアラームを鳴らす設定」この設定をすると、設定をした時刻になるとベルが鳴り「ジコク」を知らせてくれるのだそうだ。
ジコク・・・ジゴク・・・あちゃ〜、そうだったのかあ。
こりゃまた、失礼いたしましたっ!とぉ。


孤高のダンディ

私の住んでいる街の駅の近くに通称サンロードと云う通りがある。
JRの駅から私鉄の駅に抜ける商店街の通りで、道幅は狭い。休日は人通りが多いので、人とぶつからずに歩くのに苦労するほどだ。いつからそうした決まりができたのか知らないが、そこを通る人たちはサンロードを左側通行で歩く。その流れに逆らって歩くのは容易ではない。右側の店に用事がある場合でも、とりあえず左側の店を一通り見て歩き、帰りに右側の店に寄る、というパターンになる。
そんなサンロードに名物おじさんが出没するようになったのは、何時の頃からなのだろう。私が彼に気がついたのは、かれこれ1年ほど前の事だったろうか。私がサンロードへ行くのは、せいぜい月に1,2度である。が、その1,2度の機会に必ずと云っていいほど、彼と遭遇するのである。多分、地元の人なのだろう。
彼は、人ごみの中を優雅にさえ見える足取りで、歩いている。
人の流れにも決して逆らうことなく、颯爽と前を向き、あごをつんと上げるようにして胸を張って堂々と歩いている。どんなに混んでいる時でも、彼の周りには、静寂が漂っているようだ。人の波も彼の前後で途切れたかのように見えるのは、彼のオーラが眩しいせいだろうか。
彼は時に、真っ赤なスーツに白のオーストリッチの襟巻き。はたまた純白のスーツに純白の毛皮のコート!を羽織り、山高帽姿。ラメ入りのスケスケのブラウスにパンタロ〜ン、などという時もあった。
足元はもちろん、今流行りのぽっくりのように厚底の革靴である。こんな彼は、どう見ても50代いや60代か?眩しくて、まともに見られないので年齢は定かではない。
彼は何か目的があるという風でもなく、幾度となくサンロードを往ったり来たりしているのである。悠々と人波の中に消えて行く彼の後姿に、哀愁を感じてしまうのは私だけだろうか。


ぱんつのゴム

子供に通販で一番安い下着を買ったら、しばらくしてジロが
「初めは、おむつみだいで、カッコ悪くていやだな〜と思ったけど、履いてみたらぴったりして気持ち良かったの」 と云っていた。
安かったせいか今時のパンツにしては珍しい、細いゴムが通してあるパンツだったので、子供たちはカッコ悪いと文句を云うのではないかと心配していたのだが、何も云わずに履いているのでホッとしていたところだった。
それでも一応はブリーフである。一体、どこがおむつのようなのか、ジロに聞き忘れた。
私が子供の頃のパンツは、上下にゴムが入っていた。お腹の周りと、太ももの周りに細いゴムが入っている。今でも、赤ちゃんのパンツにはそういう形のものがあるようだが、昔は小学生になっても、そんなパンツを履いていた。

私が小学三年生くらいの時の事だったと思う。
日直の「起立!」の掛け声で、ハッ!と勢いよく立ち上がろうとした時に、ぷつん、嫌な音がお腹の辺りでした。そのまま立ちあがると、パンツがずるずると、ずり落ちてくるではないか。あっ!と思った時にはパンツは太ももの辺りまで下がっていた。「着席!」の号令で椅子に座ると、お尻のほっぺたがひんやりと冷たい。
休み時間にトイレへ駆込み状況を調べてみると、ゴムは完全に切れて、しかも布の中に入ってしまっているので、引っ張り出して縛ることもできそうにない。その日は、布ベルト付きの服を着ていたので、パンツを胸の上まで引っ張り上げて、服のベルトをぎゅっと絞った。これでよし!と安心してトイレから出て二三歩行きかけたら、するするする〜。
布のベルトは緩み、パンツは既に太ももまでずり落ちていた。ベルトを外して、パンツの上から直接縛るとかすれば良かったのだろうが、元々薄ボンヤリしていて、その上パニック状態になっていた私には、そんな知恵は浮かばなかった。担任は男の先生なので恥ずかしいし、他の先生の顔などろくに覚えていなかった。誰に助けを求めたらいいのか、判らなかったのだ。
仕方なく、その日は教室でじっとしていて、なるべく動かないようにすることでこのピンチから抜け出そうと考えた。あくまで、消極的な子供であった。そして、授業が終わると、歩いて20分くらいかかる家まで一目散に帰った。
走ると、パンツが下がってくるので、内股の早歩きで・・・